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このマンションのオーナーは父親だから、いい点数稼ぎだと思っているらしく、息巻いている。
「ありがとうございます。さ、入って」
メイド服は驚きの目で俺を見上げる。
「染矢さん、どういう…」
メイド服の背中を押し、部屋に押し込む。
「デリヘルです。内密にお願いしますね」
唇に指を当てると、面食らった管理人は、しどろもどろになって失礼しましたといなくなった。
後ろ手で玄関ドアを閉める。
「ごめんなさい…」
メイド服の声が震えている。
俺がリビングに入る時も玄関から動かない。
好きにすればいい。
ピザとコーヒーを平らげると、玄関から声が聞こえてきた。
「あの。すみません…」
「なんだ?」
「お、お手洗い借りたいんですが…」
「入って左のドア」
「ありがとうございます…」
声のみのやり取り。
トイレから出てきたのを見計らい、リビングに入るよう促す。
ドア越しにメイド服が見え、恐る恐る顔を覗かせる。
「どうぞ」
メイド服はリビングを見回した。
「あの、どなたかいませんか?」
「一人暮らし」
「さっき裸でしたが…」
「風呂上がり」
「…ごめんなさい…」
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