再会だけど出会い

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「パソコン出来なくて…」 ひとつ舌打ちし、俺は適当にショッピングサイトを開いてやる。 「必要なものを選んでカートへ入れればいい」 見本に一つ、バスタオルをカートに入れる。 「なるほどです」 隣りでモニターを覗き込む。 しばらく興味深そうにマウスをいじっていたが、そのうち、腹の虫が聞こえた。 「腹減ったんなら勝手に食えば?」 メイド服は顔を真っ赤にさせて、キッチンへ向かった。 棚にりんごがあるのを見つけて、食べていいか聞く。 いちいちうるさいし面倒だ、好きにしろと言うと、しゅんとして座り込んでりんごをまるごとかじる。 まるで飢えと寒さをしのぐ子供のようだ。 パソコンの画面を覗くと、カートにはバスタオルしか入っていない。 「一体何をしてたんだ」 「…ごめんなさい、つい面白くて」 半分ほどになったりんごで顔を隠す。 壁の時計に目をやると、もうすぐ零時になろうとしている。 パソコンをシャットダウンし、メイド服に目を戻す。 しゃくしゃくと小気味良い音を立て、りんごを頬張っている。 「やるぞ」
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