第二章

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    ―白い部屋―     紗夜 「ほら、弥紅ちゃん!やっぱり此の鏡は通路になってたんだよー!」   弥紅 「鏡の後ろに、ドアがあるなんて……。」   紗夜 「誰かがドアを鏡で隠してたのかな?――まあ良いやっ!行こう、弥紅ちゃん!早くお外に出てお店に戻らないと、また女将さんに怒られちゃうよう。」   弥紅 「そうね…行きましょうか。」     ディア 「あら、扉を見付けたの?貴女方は他の子より優秀ね。」   紗夜 「わあ!?」   弥紅 「い、いつから、其処に…。」   ディア 「さっきから居たわよ。貴女達が"この世界には自分達二人きりだ"なんて思うから、見えなかっただけ。」   紗夜 「――?意味解らないよ。居たなら見えるでしょ?」   ディア 「此処は、そう思ったら見えなくなる世界なのよ。――さぁて、お嬢様方。私からゲームの説明をしてあげるわ。」   弥紅 「ゲーム?」   ディア 「ええ。最後に残った者の願いが叶うゲームよ。」   紗夜 「願いが…叶う…。それって、お腹いっぱい食べたいとか、お家に帰りたいとかでも叶うの!?」   ディア 「そんなつまらない願い事?勿論、簡単よ。――人を生き還らせて欲しい、でも、好きな人の愛を自分に向けるのでも、ね…。」 (くすりと笑みを湛え)   弥紅 「――っ…。」 (ディアを睨み付ける様に)   ディア 「ふふ…。ゲームは簡単。此の世界には、七つの罪と、ひとつの夢が在るわ。七つの罪の内六つと、一つの夢を手に入れれば、其れで終わり。」   弥紅 「簡単ね…。」   紗夜 「ねっ!これなら紗夜達にも出来そうだよー!」   ディア 「きっと出来るわ。――扉を見付けた貴女達にはきっと、ね。もうとっくにゲームは始まっているの。早く往きなさい?」   弥紅 「貴女は?」   ディア 「私?――ふふ、私は行く訳無いでしょう?願いを叶える側の者なんだから…。」   紗夜 「弥紅ちゃーん!早く早く―!!」 (少し遠くから)    【弥紅、ディアを一度見、   扉の向こうへと走る】     ディア 「さあ、全ての贄が動き出したわ。――本格的なゲームの始まりね。ふふふ。」
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