第三章

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    ―宵闇ノ場所―     ラティーシャ 「私は…私は…罪も無い方々に何て事を……!!う…うう、ううう…!」 (ベッドに伏し、すすり泣く)     ディア 「あら王女様。今頃悔いておられるのかしら?」   ビラブド 「あんなに乗り気だったのに、――今更?」     ラティーシャ 「だって…普通の方達ばかりだったんだもの…!罪を背負いし人間なら、もう少し悪い人かと……!」     ディア 「悪い人間なら、貴女の欲の為に殺しても良いと?」   ビラブド 「随分と酷いのね。」     ラティーシャ 「……それは……。」     ディア 「良いこと?王女様。一見普通に見えても、心の奥では何を背負っているかは解らない…――其れが人間というものよ。」   ビラブド 「王女様にはよく解るんじゃ無いかしら?貴女も同じ様なものじゃない!」   ディア 「ビラブドは少し黙っていなさい。」 (軽く咎め)   ビラブド 「はーい。」     ラティーシャ 「私…私も、最低な人間なんだわ…。けど…、けど…、私はただ幸せになりたいだけ…其れだけなのよ…?」   ディア 「えぇ、解っているわ。貴女の気持ちはよく解る。私はずっと貴女と共に居たんだもの。」   ラティーシャ 「ディア……。」   ディア 「幸せになりましょう?何を犠牲にしてでも、貴女は幸せにならなくては。…貴女には、其れだけの価値があるのよ?」   ラティーシャ 「…幸せになる…価値…。」   ディア 「後悔などしなくても良いの。所詮アレは贄…――動物の様なモノなんだもの。」   ラティーシャ 「…罪を背負いし…贄…。そうよね…私は間違っていないわね。ふふ、…何を迷っていたのかしら。   迷ってばかりいたら、ロッティもカノンも何処かへ消えてしまうわ…。其の前に、此の儀式を完成させないと…――。」   ディア 「ふふ、其の意気よ、王女様。」     ビラブド(N) 「王女の迷いは闇に消え、後に残るは欲望ばかり。   けれどね、王女様。   悪魔が綴る物語に、ハッピーエンドは有り得ないのです。 悪魔の囁きが、人間の為になる事なんて有り得ないのです。   憐れな王女様は気付かない。此れが"幸せ"になる道だと信じて疑わない。   あァ、可哀想な王女様…。」 
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