第2章

2/3
前へ
/26ページ
次へ
 ぢぢは死に、ばばも逝こうとしている。  病を癒し、むらびとたちの健やかな暮らしを護(まも)ってきたさかいの者といえども、定められた命の炎を徒(いたずら)に接(つ)ぐ術を持つわけではない。また、そのような術を求めることは戒められてもきた。この世の命の嵩(かさ)は定められており、それらをさばくことは人の手に余る業(わざ)だから。ただ、人は、命を接ぐことはかなわなくとも、まっとうした命の志を継ぐことはできる。  しかし、ばばを看取りながら、旅立つばばを、わかは心安んじて見送ることができない。  ――ばば。逝くな。    俺は、ぢぢやばばのわざを、まだ学び終えていない。    俺は、まだまだ未熟すぎる。    俺は、まだ、ぢぢとばばの後を継ぐことができぬ。  ばばは言う。  ――ひめがおる。    ひめの力が、おまえを助ける。    案ずることはない。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加