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キィ……
酒場に入って来た人物に、ざわめいていた酒場内は静まり返る。
静かな空色の瞳、細身の体を包んだ長衣はビロードの艶を持つ黒。
非常に整った顔は誰もが認める美麗で清廉な細面。
けれど、その中で一番目だっているものは。
ビロード以上の艶を持ち、夜闇以上の深さを持つ、腰までの、長い、黒髪。
流れる度にさらさらと音が響きそうな色なれど、男性が長髪を持つと言うのはこの国では異端であった。
そう、彼が誓いをかけているか、もしくは罪人であるということ以外では……。
しかし、誓いをかけている者が酒場に来ることは考えられない。
酒場の中にいる者達は、信じられない気持ちでその青年を見ていた。
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