『嘘』 ~とある男子の場合~

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「ちょっと~拓、置いてかないでよ~」 由加里が追いかけるように校門を飛び出す。 しかし俺は振り返ることもせずそのまま歩き続ける。 もう何回同じことを繰り返してるだろう。 毎日こんなことしていると流石にデジャブュ感もなくなる。 「今日はどこ行く? あ、この間聞いたけど駅前の公園近くにクレープ屋さんが出来たんだって、行こ?」 由加里がそのまま追い越して俺の腕を掴む。 俺は引きずられながらため息を付いてみせるがこの時間が好きだった。 別に俺たちは付き合ってる訳じゃない。 でも俺の放課後はいつも由加里と過ごして、俺もそれを望んでいた。
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