『嘘』 ~とある男子の場合~

3/3
前へ
/12ページ
次へ
「あれ? 由加里?」 クレープ屋は結構美味しいのだろうか沢山の人(というかほとんど女の子)で賑わってる。 その中の三人組の女の子の一人が声をかけてきた。 「え? 里美!? ウソッ! ちょー久しぶりじゃない?」 由加里の様子を見ると恐らく中学生の時に仲が良かったんだろう。 そこから由加里は女の子たちと話し始めて急に居心地が悪くなった。 帰りてぇ…… 「ていうか、そっちの人って……彼氏?」 「え? え!?」 由加里が困ったように俺へ友達へと顔を右往左往する。 ったく。 「違う単なるクラスメイトだ」 「拓──?」 「俺とこいつは特別な感情もない、ただ単にそこで偶然会っただけだ。ってことで俺は帰る」 「え? あ、ちょっ──」 由加里が言い終わる前に駅に向けて歩き出す。 特別な感情もない……ねぇ。 ズキリと胸が痛んだ。 そんな些細な嘘。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加