ふたりの軌跡

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雌雄が決すると、周囲は湧いた。 ある者は命の頭を強く撫で、ある者は昔ながらのべっこう飴を命に差し出す。 「いやぁ、本当によくできた子だよ命ちゃんは! うちの孫とは大違い!」 「白川さんところのがダメなら、うちのはどうしようも無いだろう!」 先程対局したお爺さん、白川と、もう一人のお爺さんが明るく笑う。 ケラケラと、豪快な笑い声が碁会所に響いた。 命は、そんな和気藹々とした雰囲気につられて小さく笑っていた。
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