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校門を出て、歩き慣れた道を瑠依と2人で歩く。
こうして、この道を2人で歩いて帰るのは、今日で最後だ。
「ねぇ、瑠依。」
「ん?」
「公園寄ってかない?」
葵は帰り道にいつも通る公園を指差した。
葵の指差す公園を見ながら瑠依は頷く。
「そうだな。今日は時間も早いしな。」
そう言って二人は公園のベンチに並んで座った。
まだ風は冷たい。
「1年間ホント楽しかったね。」
公園の砂場で遊んでいる親子連れを見ながら葵は言った。
「あぁ。楽しかったな。」
「瑠依のおかげだよ。
瑠依がいてくれたから楽しい1年が過ごせた。
ホントありがとうね。」
そっと瑠依の顔を見て葵は言う。
「俺も。葵のおかげで楽しい毎日だった。
葵がいたから今日まで笑って過ごせた。
俺の方こそ、ありがとうな。」
そっと微笑んで瑠依が葵を見つめるから、葵は泣きそうになった。
「・・・・瑠依」
「ん?」
葵を見つめたまま、瑠依が応える。
「私、私ね。」
葵は深呼吸した。
「私、ずっと前から瑠依のこと」
「葵」
葵の言葉をを遮るように瑠依が言う。
「え?」
「これ。」
そう言って、瑠依は学生服のポケットから何かを取り出し、葵に差し出す。
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