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瑠依の手の中には、可愛らしく包装されたものが乗っていた。
「これ・・・」
葵は瑠依を見る。
「プレゼント」
「え?」
「俺の気持ち」
そう言って、瑠依はその包みを葵の手に乗せた。
包装を丁寧に開けると白地にパステルカラーで可愛らしい花柄がプリントされたパスケースが出てきた。
「可愛い~」
葵は思わず声を上げる。
「気に入ってくれた?」
「うん。一生大事にする。
ありがとう」
パスケースを握りしめて葵は瑠依を見つめた。
「良かった。毎日使えるものにしたくてさ。
そうしたら、これ見るたび俺のこと思い出せるだろう」
「瑠依」
「俺、もっともっと強い男になって帰って来るよ」
「・・・・・。」
「強い男になって、いつでも葵を守れるようにさ」
「瑠依」
葵の頬を涙が伝った。
泣かないと決めたのに涙が止まらない。
「泣くなよ。」
瑠依がそっと涙を拭う。
「待っててくれよな。
俺、今以上に良い男になって帰って来るからさ。」
瑠依が葵を真っ直ぐ見つめる。
「うん。待ってる。何年でも何十年でもずっと待ってる」
葵も瑠依を真っ直ぐ見つめた。
瑠依の手が優しく葵の顔を包み、そっとキスをした。
―大好きだよ。瑠依
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