それぞれの旅立ち

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次の日、瑠依は笑顔でフランスへと旅立って行った。 葵も最後まで笑顔で瑠依を見送った。 淋しくないと言ったら嘘になる。 でも、葵は泣かなかった。 瑠依には笑顔の自分を覚えていてほしかったから。 結局、葵の気持ちは言葉で瑠依に伝えることは出来なかった。 でも、あの時、あの瞬間。 2人は間違いなく同じ気持ちだったと信じている。 言葉にしなくても葵の気持ちは伝わった。 そして、瑠依の気持ちも。 言葉なんていらない。 言葉よりも大切なものを瑠依からたくさんもらった。 葵は飛行機が飛び立つのを、ずっと見つめていた。 この空はフランスまで、続いている。 ―行ってらっしゃい。 葵は瑠依からもらったパスケースを握りしめ、いつまでも青空を見上げていた。
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