それぞれの旅立ち

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春は出会いと別れの季節。 色んな期待を胸に葵は改札に向かった。 「あれ?」 ポケットを探すけど定期がない。 「ウソ? 買ったばかりなのに何で? え??」 カバンの中を見てみるがヤッパリない。 落としたのかもしれない。 葵は今来た道を戻り始めた。 定期よりもパスケースが大事なのだ。 「あのパスケースは宝物なのに。 失くすなんてあり得ないよ」 葵は泣きそうになった。 あのパスケースは葵の宝物。 中学最後の日。 卒業式に大好きな瑠依からもらった大切な思い出のパスケースなのだ。 「絶対見つける」 葵は、改札に向かう人波に押されながら、必死でパスケースを探した。 「絶対見つつけなきゃ。 あれは瑠依との大切な思い出の品。 失くしちゃったら、瑠依に合わす顔がないよ。」 中学最後の卒業式の日。 瑠依との思い出が詰まった 大切なパスケース。
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