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「何やってんだろう。
桜に見とれてるのかなぁ」
「え?」
真白が聞いてくる。
「いや、あそこ。」
葵が男の人を指差した。
「ヤバいよ。葵。遅刻する。」
真白に言われて、時計を見ると時間ギリギリだった。
「走ろう。」
真白に言われて、葵も走り出す。
走りながら、もう一度さっきの桜の木を見てみたが、もう誰もいなかった。
葵と真白はなんとか遅刻せずに教室に入った。
真白とは同じ1-6。何だか心強い。
入学式が始まり葵はクラスのみんなと体育館に並んだ。
列は男女に分かれて、出席番号順に2列並んでいる。
葵は名字が「秋村」なので一番前だ。
小学校の時から、常に出席番号順では一番になっていた。
(普段は良いけど、こうゆう風に並ぶ時は一番前はイヤだなぁ。)
そんなことを考えながら、葵は横を見た。
右側には同じクラスの青木が座っている。
小学校から同じクラスの友達だ。
左側には隣のクラス。
―あれ?
隣のクラスの男子に見覚えがあった。
―・・・・・。
「あっ。」
葵は思わず声を出した。
隣の男子が葵を見る。
目があったので思わず葵は目をそらした。
―朝、桜の木の下にいた人だ。
葵は今朝の出来事を思い出した。
―同級生だったのかぁ。
葵がそんなことを考えていると、先生が話し出し、入学式が始まった。
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