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途中、そっと隣を見てみると、先ほどの男子は寝息をたてていた。
―大胆なやつ。
葵はそう思いながら、校長先生の話を聞いていた。
入学式が終わり席を立とうとした時、目の前に何かが落ちてきた。
―何だろう。
葵は、それを拾い上げた。
「桜の花びらだ。」
どこから入ってきたのか、桜の花びらが落ちていた。」
「あぁ。ごめん。
それ、俺についてたやつだ。」
声のした方を葵は見上げた。
声の主は葵の隣に座ってた隣のクラスの男子だ。
「え?」
「朝、桜に見とれてた時についてきちゃったんだな。
記念にあげる」
男子はそう言って微笑んだ。
「え?」
葵が戸惑っていると、クラスのみんなが退場しはじめていた。
「ほら、早く行かないと置いて行かれるよ。」
「あ。」
そう言われ、葵は慌ててみんなの後を追う。
「じゃあね~」
振り向くと、彼が手を振っていた。
―意味が分かんない
葵はそう思いながら、クラスのみんなに追いついていった。
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