葵とキミ

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何とか授業に間に合うように葵は教室に滑り込んだ。 瑠依がフランスに旅立って丸3年が過ぎ、あれから3回目の春がやってきた。 葵は大学生になっていた。 1週間前に入学式を終えて、少しずつ大学生活にも慣れてきているところだ。 「ギリギリセーフだね。」 葵より先に席に着いていた真白が笑う。 「へへっ。ダッシュしちゃったよ。」 息を切らしながら、葵は席に着いた。 葵は真白と同じ高校に行き、大学も同じ桜ヶ丘大学の教育学部に進学していた。 小学校1年から真白とは同じ学校で、もう12年も一緒にいる。 考えてみると人生の半分以上一緒にいることになる。 長いつき合いだなぁ。 葵は隣に座る真白をじっと見つめる。 「何?」 葵の視線に真白が気づく。 「ううん。 私たち長いつき合いだなぁって思ってさ。」 「ホント。腐れ縁だ。」 「うん。腐れ縁だ。」 二人で顔を見合わせて笑う。 キーンコーン カーンコーン 授業開始のベルが鳴り、先生が教室に入ってきた。
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