それぞれの旅立ち

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「はぁ~。 ついにこの日が来ちゃったよ。 何で卒業式なんか来るんだよ~」 葵は泣きそうな顔でつぶやく。 「仕方ないよ。 イヤでも来ちゃうもん」 葵の隣で、親友の真白がつぶやく。 葵は校舎2階の一番端にある3-1 の教室のテラスにいた。 下を見ると、卒業式の準備で走り回っている先生達の姿がが見える。 目の前には1年生の教室がある校舎があって、その向こうにグランドが広がっている。 テラスと反対側の廊下の向こうには体育館とその先にテニスコートがある。 きっと今頃体育館の中でも卒業式の準備に追われている先生達がいるのだろう。 「桜もまだ咲かないね」 葵はちょうど目の高さに見える桜の木に目をやった。 「そうだね。 今年の開花は3月下旬ってゆってたから、入学式が見頃なんじゃない?」 真白が応える。 「あ~ぁ。 中学の3年間ってホント早いよね。 小学校の6年はメチャクチャ長いのに。小学校の半分もあったとは思えないよ」」 そう言って葵はそっとため息をつく。 「あぁ。分母が増えるから仕方ないよね」 「え?」 葵が聞き返す。 「例えばね、 1年生の1年間って7歳のうちの1年間だから1/7でしょ?」 「うん」 「でも、中学3年は1/15。分母の7が15に増えた分だけ1年が短く感じるんだって」 真白が物知り顔で話す。 「なるほど~。 だから二十歳を超えると1年たつのが早い。ってゆうのかぁ。」 感心したように葵は頷いた。 「社会人になったら学生みたいに、学年の区切りがないから、余計に早く感じるのかもしれないね。」 「あ~ぁ。 本当にこの1年間あっとゆうまだったなぁ。 楽しい時間は早く過ぎるってゆうけど、早すぎる。 もう卒業なんて淋しすぎるよ。」 葵は本当に泣きそうになってきた。 「葵の場合は瑠依がいたから余計に、でしょ?」 真白が微笑みながら葵を見る。 「瑠依。」 中学最後の1年間を最高に楽しくしてくれた大切な人。 「明日から瑠依と会えなくなるなんて考えられないよ。」 葵は瑠依との楽しかった日々を思い返していた。
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