葵とキミ

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中学1年生の春。 入学式から1ヶ月が過ぎようとしていた。 放課後。 葵は真白と一緒にテニスコートに立っていた。 二人は予定通りテニス部に入部し、毎日練習に明け暮れている。 練習といっても、経験もなく入ったばかりの1年生は当然ラケットをもてるはずはなく、トレーニングの日々だ。 まずは、体力作りに学校の外周を3周ランニング。 約3Kmだ。 その後、腹筋や腕立て伏せなどの柔軟体操を行い、後は部活が終わるまで、ずっと球拾いだ。 女子テニス部は3年生が14人、2年生が8人。 そして葵たち1年生が18人の大所帯だ。 さすが、校内の部活人気ベスト3に入るだけはある。 と、葵は球拾いをしながら思う。 葵たち1年生は9人ずつに分かれ、コートサイドに並び球拾いをしている。 隣の部員とは離れて並ばされており、私語は出来ない。 私語をすれば先輩に注意される。 なかなか厳しい。 女子コートのすぐ隣に男子コートがあるが、もちろん会話をすることは出来ない。 軍隊みたいだ。 葵は思う。 これでは、テニス部に入った意味がないのではないだろうか。 想像していたテニス部の練習とはほど遠く、葵は早くも脱落しそうになる。 こんなんじゃ、せっかく素敵な先輩がいても、近づくことすら出来ない!! 真白がいつもぼやいている。 葵はあまり恋愛には興味ないので、その辺りは気にならないのだが。 葵はコートを見渡す。 今の練習(練習とも言えない状態だが)はキツイが、みんな頑張っているし、何よりスコート姿でテニスコートでプレイしている先輩たちの姿はとてもかっこ良く、憧れてしまう。 自分も頑張れば先輩たちみたいになれると思うと、葵は頑張ることが出来た。
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