葵とキミ

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練習が終わると、コートの整備、後片付けを1年生が行う。 用具を部室に直し、葵たちは教室に戻る。 まだ部室は1年生は使えないので、葵たちは女子テニス部用に指定された教室で着替えていた。 部室が使えるのは、3年生だけ。 正確に言えば、3年生が引退した後の2年生の夏からだ。 だから、葵たちが部室を使えるようになるのは、まだ1年も先のことだ。 葵は部室を使うことにも、憧れている。 仲間だけの、特別な空間。 そんなイメージだ。 教室に戻ると、すでに着替えを終えた2年生の先輩たちがいた。 同じ場所で着替えているせいか、3年生よりも身近に感じる。 先輩たちに挨拶をして、葵たちも着替え始める。 時計を見ると、もう7時近くになっている。 外はもうすっかり陽が落ちて暗くなっている。 今の時期は部活は大体6時半くらいまでた。 夏になると、7時半くらいまで行われる。 夜間照明のあるグランドを使用している野球部やサッカー部は、試合前になるともっと遅くまで練習しているようだ。 1年生の中でも一応責任者を決めている。 みんなで、ジャンケンをした結果、葵は負けてしまい、責任者になっている。 責任者といっても、やることは最後の教室の戸締まりくらいだ。 たまに、先生からの連絡事項をみんなに伝えたりする。 責任者なので、葵と真白はいつも最後に教室を出ていた。 真白はいつも葵を待ってくれている。 「よし。戸締まり完了。 じゃあ、鍵を職員室に返してくるから、真白は先に下駄箱に行ってて。」 葵はそういうと職員室に向かった。
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