葵とキミ

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葵の目の前には木村先輩と前田先輩。 さすが、部長と副部長だけあって、スゴイと葵は思う。 絶対に、この2人についていく。 葵は前だけを見て走っていた。 後ろから、人の息づかいが聞こえてきた。 その息づかいが葵を追い抜いていくとき、葵はふと横を見た。 同じように横を見ていた、少年と目があった。 ー瑠依だ。 そのまま瑠依は葵たちを追い抜いて走っていった。 一体何周走っているのだろうか。 サッカーはテニスと違って走るスポーツだ。 10周以上走っているのかも知れない。 瑠依の背中を見ながら、葵は最後の力を振り絞った。 「マジで死ぬ・・・・。」 教室に戻って葵は床に倒れ込む。 葵に続き全員が床に倒れ込んだ。 しばらく、全員が死んだように動かない。 先程やっと地獄の練習が終わった。 部員全員無事に15分以内にゴールすることが出来た。 ホントは喜んで感動したいところだが、その元気すらないのが本音だ。 15分位そうしていただろうか。 ふいに教室のドアが開き、誰かが入ってきた。 葵は、なんとか顔を起こして、ドアの方を見た。 ・・・・木村先輩だ。 そこには既に制服に着替えた木村先輩と前田先輩が立っていた。 「みんな、お疲れ様。 今日はホント良く頑張ったね。筋肉痛とかひどいかもしれないけど、土日でゆっくりして疲れをとってね。 これ、大友先生から差し入れ。」 そういって、木村先輩はたくさんのチョコレートを葵たちにくれ、優しく微笑んだ。 「木村先輩・・・。」 疲れた葵たちの体には先輩の優しさが身にしみた。
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