葵とキミ

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次の日は、当然のように葵は筋肉痛に悩まされていた。 「うぅ。動くたびに痛い・・・・。」 葵は重い体を引きずるようにして、起きあがった。 ホントは休みだからもっと寝ていたいのだが、余計に疲れそうなので8時には起きていた。 空は晴れ。 昨日とは、うってかわった青空だ。 もう、梅雨明けも近いのかもしれない。 天気が良かったので、葵は町に出かけた。 久しぶりの晴れ空のせいか、町は人であふれかえっていた。 適当にウロウロしてから、ファーストフード店に入り、コーラを飲み休憩していた。 窓際の席に座り、道行く人たちを眺めていると、きゃあきゃあとしゃべりながら店に入ってきた集団がいた。 集団はそのまま葵の近くの席に座る。 あまりにも大声で話すものだから、うるさいなぁと思い、葵は視線をそちらに移す。 女の子6人のグループ。 よく見るとその中に男の子が1人混じっている。 「うわ。ハーレムだ・・・。」 葵は、コーラを飲みながら、その光景を見る。 葵が見ていることに気がついたのか、少年が顔を上げて葵の方を見た。 「ヤバイ。」 葵は慌てて視線を窓の外に戻す。 「見てるの、ばれちゃったかな・・・・。」コーラを一口飲んで、テーブルに戻してから、葵はふと思う。 「・・・・・・。」 少年の顔に見覚えがあった。 ・・・・・瑠依だ。 葵はもう一度そっと視線を先程の集団の方に向ける。 少年は女の子達に囲まれて談笑している。 よく見ると回りの女の子達も葵と同じ中学校の生徒だ。 同じクラスではないので、良くは知らないが。 「・・・・・・。」 なんか、軽薄な感じ。 土曜日に女の子に囲まれている瑠依に、あまり良い感じはしなかった。 まあ、個人の自由だから、別に私には関係ないけどね。 そう思いながら、葵はコーラを一気に飲み干すと席を立ち、トレイを戻してから店を出た。 外は日差しがかなり強い。 しばらく、町を見てから葵は家に帰っていった。
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