葵とキミ

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中体連が終わり、新体制での部活が始まった。 新しく部長になったのは、高田先輩だ。 高田先輩は明るく親しみやすい先輩だ。 3年生がいなくなり、人数も少なくなったので、ちょっと淋しいがまた新たな気持ちで頑張りたいと葵は思う。 2年生が部室を使うようになったので、1年生だけで教室を使えるようになり、少し騒がしくなった気がする。 夏休みになり、葵たちはやっとテニスラケットを持つことが出来るようになった。 嬉しくて仕方がない。 初めは基本的な素振りを何回も何回も繰り返し練習した。 やっとボールを打てるようになったが、なかなかタイミングが合わず上手にラケットに当てることが出来ない。 いざ、やってみるとテニスはとても難しかった。 しかし、毎日毎日暑い中、必死で練習を行い少しずつだがボールがラケットにあたり、遠くに飛べるようになってきた。 初めてラケットにボールが当たった時のあの感動を葵は一生忘れないだろう。 夏休みの練習は基本的に午前中で終わる。 午後になると日差しがきつすぎるためだ。 午前中とは言っても、9時から1時までの4時間びっしりあるので、かなり疲れる。 葵は、まだ体力が足りないと感じていたので、部活が終わった後に、真白と2人で外周を3周走って帰っていた。 走っていると、いつもグランドの側のとおりに夏達数人が固まってサッカー部の練習を見ている。 サッカー部と野球部はお昼を挟んでさらに練習をしているようで、いつも葵たちよりも遅くまで残っていた。 「あ、葵。真白。頑張って。」 夏達に、声をかけられる。 「ありがとう。」 そういって、葵たちは走り続けた。
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