葵とキミ

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葵は驚いた。 夏休みに入ってすぐ、スコートを購入するためにウエストを計った時は確かに58cmだった。 もしかしたら、表示サイズより大きく作られているのかも知れないが、明らかに痩せている。 夏休みの激しい練習で、きっと痩せたのだろう。 葵はなんだか嬉しくなった。 そのまま保健室に行き体重を測る。 葵の身長は162cm。 入学した頃は体重は48kgくらいだった。 ダイエットしなきゃいけないと思っていた所だったが、今計ってみると体重は43kg。 5kgも痩せていた。 部活を始めて確かに運動量は増えたが、以前に比べると遙かに食べる量は増えている。 食べる量よりも消費する運動量の方が多かったのかも知れない。 思わぬダイエット効果に、葵は嬉しくなり、保健室でスコートをひらひらさせながら回り始めた。 調子に乗って回っていると、ベッドにぶつかりそうになり、慌てて動きを止める。 「はぁ。危ない危ない。」 ほっと、胸をなでおろして、入口の方を見ると、誰かが笑いながら立っていた。 「・・・・・・。」 麻岡瑠依だ。 葵は、今のを見られていたのかと思うと恥ずかしくて、うつむいた。 顔が赤くなっていくのがわかる。 そのまま、瑠依の顔を見ずに下を向いたまま、葵は入口に向かった。 足早に瑠依の横を通り過ぎようとしたときに、ふいに声をかけられた。 「似合ってるじゃん。スコート。」 葵は驚いて立ち止まり、瑠依を見上げた。 「・・・・・・。」 「踊りもさまになってたぜ。」 いたずらっぽく瑠依が言う。 葵は恥ずかしくなり、そのまま走って、その場を去った。 アリエナイ、アリエナイ、アリエナイ!!! 葵は、手洗い場に行き、冷たい水で一気に顔を洗う。
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