葵とキミ

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水が、ほてった顔を冷やしてくれる。 「あー。恥ずかしかった。」 鏡をのぞき込み、葵は顔のほてりを確認する。 大分、赤色はおさまったようだ。 黙ってみてるなんて、ひどいヤツ。 ホントに、恥ずかしすぎる。 ・・・・・・。 葵は先程のことを思い出すと、また顔がほてってくるのを感じた。 何度も何度も顔を洗っていると、真白が走ってやってきた。 「葵。こんなとこで何やってんの。 急にいなくなるからビックリするじゃん。」 「え。あ、ごめんごめん。」 急にいなくなった葵を探しに来てくれたようだ。 「練習始まるから行くよ。」 「うん。」 葵は、真白と一緒に走ってテニスコートに戻る。 どうやら、真白には顔のほてりは気づかれていないようだった。 葵が瑠依と、話をしたのはそれだけだった。 それから時々見かけたり、すれ違うことはあったが言葉を交わしたことはなかった。 あっというまに毎日は過ぎていき、葵たちは2年生になり夏休みを迎えた。 中体連も終わり、3年生が引退し、葵たちが部活では最上級生になる。 今日から念願の部室を使うことが出来るのだ。 思ったよりも狭いし、汚いが、自分たちのお城が出来たようで、なんだか嬉しくなる。 狭い部室に18人の3年生が入るのは、本当に大変だが、 みんなで寄り添って着替えたりするのはとても楽しい。 3年生が引退したことで、葵たちの中から部長を決めることになった。 みんなの意見が一致して、1年生の頃から責任者として、色々とやってきていた葵が部長をすることになった。 部全体をまとめる部長だ。 少しプレッシャーはあるが、みんなが協力してくれるし、 みんなが自分を選んでくれたことがとても嬉しかった。 それに副部長は真白だ。 真白と一緒ならやれる。 葵は強くそう思った。
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