葵とキミ

18/21
前へ
/150ページ
次へ
部長の仕事は、全体のまとめと、いつものように部室の戸締まりと管理だ。 それから月1回。各部活の部長会議が行われる。 まあ、学校側からの連絡事項や、各部の情報交換といったことが話されるだけで、大した仕事ではない。 初めての部長会議。 葵は、会議室に行って驚いた。 瑠依がいたのだ。 瑠依はサッカー部の部長になっていた。 去年の夏休み以来、瑠依とはあまり関わりがない。 まあ、別に関わりたいとも思っていないが・・・・。 学校で見かける瑠依は、部活以外では女の子に囲まれていることが多い。 相変わらず人気があるようで、バレンタインにはかなりチョコレートをもらっていたと夏が教えてくれた。 まあ、夏は瑠依とは違う彼氏が出来ており、瑠依にはもう未練はないといった感じだが。 葵と同じテニス部の後輩にも瑠依のファンはいるようで、ランニングの途中にサッカー部の方をずっと見ていたり、 テニスコートでの練習中に、瑠依が外周を走っていると、じっと見ていたりするものだから、何度か注意をしたものだ。 やっぱり人気あるんだなぁ。 葵はそんなことを考えながら、配られた資料に目を通していた。 2年生になるとテニス部の部員にも、塾に行く生徒が増えてきた。 真白も塾に行き始め、葵は部活が終わると1人で帰るようになっていた。 真白に一緒に塾に行こうと誘われたが、今はそんな気になれず、部活に集中したい気持ちが強かったので、断った。 塾は引退してからでも遅くない。 葵は、今のところ成績も学年で上位の方にいたので、 塾に行く必要性は感じていなかった。 ま、だからといって怠けてたらヤバイけどね。 そう言って、葵は部室の戸締まりをして職員室に向かう。 外はもう真っ暗だ。 夏休みも終わり今は11月。 陽が落ちるのも早い。 葵はいつも誰よりも遅く帰っていた。部室を片づけたりしていると、どうしても時間がかかってしまう。
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

875人が本棚に入れています
本棚に追加