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放課後、葵は部活に行く準備を始めた。
「葵ってさぁ。」
瑠依が話しかけてきた。
「呼び捨てにしないで」
ムッとしながら葵はゆう。
「あぁ。そっか。葵ってさぁ。」
(人の話し聞いてないな、こいつ。)
「葵ってさ。・・・・・・・。」
「何?」
「・・・・・・・。
イヤ、何でもない。」
「は?」
「さ、俺も部活行こうっと。
じゃあな。」
そう言って瑠依は部活に行ってしまった。
「何じゃ。あれ。」
葵は首を傾げた。
「葵、部活行こう。」
同じクラスで同じテニス部。
そして小学校からの親友の真白が話しかけてきた。
「うん。行こう。」
葵は真白と部活に向かった。
中体連前で練習にも気合いが入る。
部活が終わった後、部室を最後に出るのは決まって葵だ。
真白や他の部員は塾もあり、ダッシュで帰っている。
葵はテニス部を引退するまではテニスに専念したかった。
部活と勉強の両立が出来るほど葵は器用ではなかった。
ラケットやボールをキレイに拭いて部室を出た。
職員室に部室の鍵を返し下駄箱に行ったところで瑠依に会った。
瑠依も部活が終わったたのだろう。
「あれ?葵も今帰り?」
何度言っても瑠依は葵を名前で呼ぶので、葵は文句を言うことを諦めた。
「うん。麻岡くんも?」
瑠依はキョトンとした顔をしている。
「・・・気持ち悪い。」
突然、瑠依が言う。
「は?」
「瑠依で良いよ。
みんなそう呼んでるし。
麻岡って呼ばれるの慣れてなくて気持ち悪い。
それに、俺も葵って呼んでるし、さ。」
「・・・」
「な?」
人なつっこい笑顔で瑠依が笑う。
その笑顔についつられて葵も笑う。
「うん。分かった。瑠依。」
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