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「よし。じゃあ一緒に帰ろうぜ。」
「え?」
葵は驚く。
「もう8時だし、女の子一人じゃ危険だから送ってくよ」
瑠依が優しく言う。
「いいよ。方向違うし」
葵は慌てて断る。
「大丈夫。途中までは一緒だし。
中体連前の大事な時期に何かあったらヤバいじゃん」
「でも、それは瑠依も一緒だよ。
私を送った帰りに何かあったらヤバいもん」
「俺は男だから大丈夫。」
「でも・・・」
葵はとまどっていた。
自分を送ったせいで瑠依にもしものことがあったら。
瑠依は男とはいえ、最近は物騒な事件が続いており、心配だ。
「・・・。
ホント、葵は自分のことより人のこと心配するよな」
優しい顔で瑠依が葵を見つめる。
「え?」
「じゃあ、こうしようぜ。
ちょっと遠回りだけけど、先に俺の家行ってチャリを取ってくる。
で、葵を送った後、俺はチャリで帰れば良くね?」
「あ。それなら良いかも。
でも、そうすると瑠依が家に帰るの遅くなるし。」
やはり申し訳ないと葵は思う。
「大丈夫だって。
あ、俺のチャリ二人乗りできないから、葵の家までは歩きだけど良い?」
「それは全然問題ないけど、本当に良いの?」
「良いって、良いって。
よし。じゃあ、帰ろうぜ。」
「うん。」
葵は瑠依と一緒に歩き出した。
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