#01.闇に潜むイコ

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ふと、端末機をもう一度見返すと、いつの間にか日付が今日に変わっていた。 「やっと配信されたな。」 店員は一息つく。 「じゃあ、ジャパンタイムズ、買おうかな。」 響は端末機に100円を投入し、ジャパンタイムズの文字に触れた。その後、タッチパネルの左側にあるDBポート{※デジタルブレインポート:電脳と周辺機器を結ぶインタフェース規格。あらゆる機器と接続でき、機械化した脳に情報を送れることが出来る}を伸ばし、首の後ろにあるインタフェースに繋いだ。それと同時に情報が頭に流れこんでくる。 タッチパネルに、送信終了の文字。 響はポートを抜き、今度はそのデータを開いた。目の前に半透明の画像が現れる。未慣れたジャパンタイムズの一面だ。 「ジャパンタイムズ、2060年5月21日配信。」 響はわざとらしく日付を呟く。 「さて、今日の一面は…、」 突然、響はだまりこんだ。 「どうした?」 店員は眉を潜ませる。しかし、響は黙々と記事を読んでいて反応しない。 数十秒後、響はファイルを閉じ、店員を見た。 すごく苦笑いをしている。 「"BOUS(ボウズ)"が…掴まったって…」 その数秒後、店員の叫びがコンビニ内に木霊した。  
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