第一章。商人の厄日

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「アンタ、地貸しだろ?場所借りるから前払いしに来たんだよ」 「チッ、客か……。まあいい、ショバ代出すならさっさとしろ。わかってるとは思うが……」 「それ相応の金額だろ。わかってらぁ」 ドロップは衣の懐から革袋を取出し、地貸しの前へと投げ付ける。 金属が互いに打ち付け合う音がした。地貸しの男は細い目で確かめると、ドロップに借地の位置を示して、酌の繰り返しに戻った。 ドロップは紫煙と酒気のたちこめる酒場をあとにして、男から指定された場所へと強い日差しの中歩いていった。
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