拓馬の章 1

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 勢いよく尻餅をついた瞬間痛みが走った。   「ごめんなさいっ。探すのに夢中で」  気にしないでほしいと俺は彼女に伝えた。 「財布落としちゃって」  財布?もしやと思い拾ったことを言うと、彼女は安心した。  やってしまった。あのまま彼女が探しにくるのを待っていたらよかったのに。  俺は彼女を交番まで送ることにした。歩いて行くには少し遠い距離だし。 「別にそんなことまでしてくれなくてもいいですよ。届けてくれただけで」  彼女はよくても俺は良くなかった。  俺は彼女の手をとり、バイクがある場所まで連れて行った。  彼女は遠慮していたが、最終的には着いてきた。  彼女にメットを渡し、エンジンを掛けた。  彼女は紐を結ぶのに苦戦していた。なので俺は彼女の紐を結んだ。  彼女をメットの上から軽く叩いた。すると、 「いてっ」  なんか笑えた。俺は彼女を後ろに乗せて交番に向かった。
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