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薄暗い細い道。
ビルの間の僅な隙間………ではなく。何故か私道を車でゆっくり走る。境界と思われる門をくぐりぬけ、何分経っただろうか?山の雨でぬかるんだ道を到着の兆しすら見せずに走る。
その間、彼はよく喋った。
自分の腰くらいしかない、端正な顔の少年。
裏路地の時からを僕は回想してみる。
「………でも、僕は傘持ってないよ?」
少年は愉快そうに言う。
「俺だって、所有為てない。まぁ其所に座って考えるとしようぜ?」
僕はビルの非常階段の下にある木片を指して呑気に言う。
「やだよ。それでも濡れちゃうだろ?」
「確にな」
非常階段は錆びて雨を防ぐには少し試元寂しい。
「それよりさ、もっと沢山話そ?親友なんだからさ。お互いを知る最初の手順は会話さ。」
満面の笑みを浮かべ少年は早口で捲り立てる。
「まぁそうかもな。でも雨に当たりぱなしじゃ、キツイよ。」
まぁ僕は平気なんだけど、一応、親友たる少年を気遣う意味で言ってみた。
「あぁそれなら、丁度良い場所があるよ。」
少年は悪戯を思い付いた子供(確に少年は子供だけど)のように、嬉しそうに言った。
「ふふっ。なら案内してくれよ。」
何だ。結局僕は彼に救われようだから、逆らえないなぁ。
僕らは歩き始めた。
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