一章~英雄ごっこ~

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薄暗い細い道。 ビルの間の僅な隙間………ではなく。何故か私道を車でゆっくり走る。境界と思われる門をくぐりぬけ、何分経っただろうか?山の雨でぬかるんだ道を到着の兆しすら見せずに走る。 その間、彼はよく喋った。 自分の腰くらいしかない、端正な顔の少年。 裏路地の時からを僕は回想してみる。 「………でも、僕は傘持ってないよ?」 少年は愉快そうに言う。 「俺だって、所有為てない。まぁ其所に座って考えるとしようぜ?」 僕はビルの非常階段の下にある木片を指して呑気に言う。 「やだよ。それでも濡れちゃうだろ?」 「確にな」 非常階段は錆びて雨を防ぐには少し試元寂しい。 「それよりさ、もっと沢山話そ?親友なんだからさ。お互いを知る最初の手順は会話さ。」 満面の笑みを浮かべ少年は早口で捲り立てる。 「まぁそうかもな。でも雨に当たりぱなしじゃ、キツイよ。」 まぁ僕は平気なんだけど、一応、親友たる少年を気遣う意味で言ってみた。 「あぁそれなら、丁度良い場所があるよ。」 少年は悪戯を思い付いた子供(確に少年は子供だけど)のように、嬉しそうに言った。 「ふふっ。なら案内してくれよ。」 何だ。結局僕は彼に救われようだから、逆らえないなぁ。 僕らは歩き始めた。
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