第三章・襲来

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だめだ。今、楓様達は大変な思いをしてるんだ。だから、りんも頑張んなきゃ。足を引きずりながらゆっくり歩いていく。 ビュウっ。 一陣の強い風がふいた。 何だろうと思ったら、顔は女の人だけど体は蛇みたいな妖怪が下舐めずりしていた。 怖くなって後ろを振り向くと沢山の妖怪達が飛んでいる。 しかも、こっちに向かってきているのだ。 森の奥の方に逃げようと思ったけど、後ろも前も妖怪に塞がれてしまった。 『さっきの村はだめだったが、旨そうな幼子がいるなぁ』 げへへへと笑っていながらじわりじわりと詰め寄ってきた。たじたじに自分の足も後ろに下がっていく。シュッと鋭い音がしたから、驚いてしゃがむと、髪の毛の先が少し切れていた。 『喰ろうてやるぞ』 妖怪がちかずいてきて目を思わず瞑った。 (殺生丸様!!) バリバリ バチバチ 瞼を閉じていても辺りが 明るい事がわかるような光と爆発音。くるであろう痛みを覚悟しているとそれがなかなか来ない。それどころか、体がふわりと浮いたような感覚がした。ゆっくりと瞼をあけると、目の前に 金色の二つの瞳と額の月が視界に飛びこんできた。それはずっと待っていた、色。 「殺生丸様……!!!」 なんの前触れもなくポロポロと涙が溢れてきた。あたたかな毛皮に抱きつくと、殺生丸様は、りんを軽々と持ち上げてそのまま歩きだした。地上を蹴り出すとポーンと広い空に駆け出す。 嬉しい気持ちと安心した気持ちで緊張の糸が切れたみたいで、いつのまにか暖かい温もりの中で寝ていた。
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