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奈落が消滅した。
では、殺生丸さまはこれからどうするのだろうか。刀の事も、奈落を追う事もどちらも終止符がついた。また、旅を続けるのだろうか。なんにせよ、りんは殺生丸さまについていく。その気持ちは片時も揺るいだ時がない。それが当たり前な事だから。
「りん」
呼ばれてりんは殺生丸さまをすぐに見上げた。だけど、いつもと様子が違う事に気がつく。殺生丸さまの瞳と目があうと、金の眼が揺らぎなく穏やかにりんの事をみつめている。普段なら、返事をするんだけど何か怖くなってりんは殺生丸さまから視線をはずした。
「ここに残れ」
心臓が跳ね上がった。ドキドキと胸を何度もうっている。そして頭の中が真っ白になって動けなかった。
「りん」
もう一度殺生丸さまがりんの名前を呼ぶ。静かに、穏やかに、だけどりんは無意識のうちに頭を思いきりふっていた。
「ここに、残れ」
諭すような声色だったけど、りんは何度も頭を横にふる。
「いやだ……」
絞りだした声が震えていた。それでも、かまわずに言葉をつなぐ
「りんも一緒にいく!!
りん我が儘だから駄目なの……?だったら、もう我が儘言わないから、自分の事は自分でする、から、だから」
目頭が熱くなってきて鼻がツンとしてきた。でも泣いたらもっと足手まといって思われちゃうから着物の裾を思いきり握って頑張って我慢する。
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