第一章・別離

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一斉に我慢していた涙が洪水のように流れてきて頬を伝っていく。止まる事を知らないように次から次から溢れた。でも、それを拭うほど余裕がない。 「嫌だよ。嫌だよ。 りんを置いていかないで。みんなみんな、なんで、りんの前から、いなくなっちゃうの?」 おっかぁもおっとうもいなくなっちゃう。りんの側からいなくなった。殺生丸様もりんの前からいなくなっちゃうの?首を振りながら、いなくならないでとか細い声で何回も何回も繰り返していたら、頭に大きな温もりを感じた。 すると、頭に殺生丸様の大きな手が乗っていて、くしゃくしゃと撫でた。それは、泣いているのをあやしているみたいで、安心しろといっているみたいで、殺生丸様らしい慰めかただった。優しいこの温もりから離れたくない 「……私はたまに来る」 「本当に……?」 「ああ。 ……泣き止め」 えへへとあなたに向かって笑うと穏やかな瞳がみえた。 「……頼む」 楓様にポツリというと殺生丸様は青い空へ飛んでいった その背が見えなくなってもずっと 空を見上げたままだった。
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