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一斉に我慢していた涙が洪水のように流れてきて頬を伝っていく。止まる事を知らないように次から次から溢れた。でも、それを拭うほど余裕がない。
「嫌だよ。嫌だよ。
りんを置いていかないで。みんなみんな、なんで、りんの前から、いなくなっちゃうの?」
おっかぁもおっとうもいなくなっちゃう。りんの側からいなくなった。殺生丸様もりんの前からいなくなっちゃうの?首を振りながら、いなくならないでとか細い声で何回も何回も繰り返していたら、頭に大きな温もりを感じた。
すると、頭に殺生丸様の大きな手が乗っていて、くしゃくしゃと撫でた。それは、泣いているのをあやしているみたいで、安心しろといっているみたいで、殺生丸様らしい慰めかただった。優しいこの温もりから離れたくない
「……私はたまに来る」
「本当に……?」
「ああ。
……泣き止め」
えへへとあなたに向かって笑うと穏やかな瞳がみえた。
「……頼む」
楓様にポツリというと殺生丸様は青い空へ飛んでいった
その背が見えなくなってもずっと
空を見上げたままだった。
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