第ニ章・願望

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視界が潤む中、もっと先に白い髪の毛がみえた。 殺生丸様だ!嬉しくなって、さっきのは間違いじゃなかったと思わず駆け出していると、その銀髪を靡かせてゆっくりと後ろを振り向いた。殺生丸様!と叫ぼうと喉まででかかった声がしぼんでいく。袖で目を擦ると、頭のてっぺんにちょこんと犬耳があった。 「犬夜叉様……」 以前、ここに来たことがある。古びた井戸がある所。その井戸の前で犬夜叉様は座っていた。ずっと待っているような、そんなふうで。 「りん……どうしたんだ?」 意外みたいな表情をして、聞いていたから、犬夜叉様の隣に座って、何でもないよと答えた。 「かごめ様を待ってるの?」 井戸を見つめる瞳が少しつらそうだった。 楓様から、かごめ様は違う世界をこの井戸で行き来きしているって聞いた事があるけど、いつしかかごめ様がパッタリといなくなっていた。誰もその事を教えてくれなかったけど、何となく犬夜叉様はかごめ様をまっているって思った。 「かごめ様、帰ってくるといいね」 「 かごめの事を大切に思っているのは俺だけじゃねぇ かごめはあっちにいたほうが幸せなんだよ」 「でも、かごめ様は戻ってきたいかもしれないよ。かごめ様の幸せはかごめ様が決めるんだよ」 「こっちよりあっちのほうが安全だから、俺は、かごめに危ない目なく生きてほしいからな」 「危ない目があっても、ずっと一緒にいたい人はいるもの」 「りん……」 「だって、側にいたいって思った人が、いないなんて幸せなんかじゃないよ 絶対、悲しいよ」 すると、思いっきりくしゃくしゃと頭を撫でて、スクリと立ち上がった。
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