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「生きるべき世は決まってんだ
俺だって、会いてぇよ」
んな面するな。って付け加えて、犬夜叉様は、身軽に村のほうに走っていった。
生きるべき世は決まっている。
それは、
人は人の世
妖は妖の世
って事でもあるのかな?
無性にやるせない気持ちになって、また、泣きそうになった。最近、泣いてばかりだな
「殺生丸様……」
もう二度と会えないのかな?
嫌だよ。嫌だよ。
もしもこのまま会えなくても、殺生丸様はりんの事を覚えていてくれるかな?忘れないでいてくれるかな?
あてもなく歩いていたら、見晴らしのいい丘についていた。村も見渡せる。この場所で、殺生丸様は見つかるかな。無意識に、探しにきていたのかもしれない。いつも留守番する場所は決まってこんな見晴らしがいい所や花畑だったから。
ずっとずっと、そこで座って待っていた
気が付いたら、朝だったはずの空は赤くなっていて、太陽はもうすぐ沈みかけていた。
もう、こんなに時間がたっていたんだ。
それでも、ここから立ち上がって村に戻ろうなんて思わなかった。自分の居場所はここで待つ事に気がしたから。もし、殺生丸様が来たら、ここにいたほうがすぐ分かると思う。だから、待って待って待ち続けよう。
太陽は沈みきっていて、空は深い蒼に染まっていた。星が明かりを放っていて綺麗だったけど、星空よりも、あの姿しか思い浮かべていない。
「りん」
後ろから、優しげな声が聞こえた。振り向くと、楓様がそこに立っていた。
ゆっくりとこっちに歩いてきたから、立ち上がって、楓様を見ていた。
「戻ろうか」
諭すようにいって、手をつないでくれた。
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