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『綺麗な女の子になりなさい』
これは祖母の口癖だった。
そして日本の文化を尊重する祖母は私に、日本の『道』をいくつもさせた。
合気道、華道、茶道、…いくつだっただろう。
『汚い女の子にはならないで』
兄にも同じ事を言っていたのを覚えている。
兄は『格好良い』と言われる容姿で、祖母は兄に『自分を敬う事はしないで』と言った。
兄は、自分が好きだったと思う。
自分がより良く見える方法を探していた。
綺麗な女の人を沢山連れて、とにかく兄は自分中心に世界が回っているようだった。
祖母はそんな兄を『汚い』と言っていた。
私もそう思った。
どうして兄は自分をあんなにも愛せたのか、とても疑問。
『真夜、一番になりなさい。美しく清らかに。兄を見習ってはいけませんよ』
そんな偉大な祖母が亡くなったのは、私が大学の受験が受かった頃だった。
『だけど、他人のものは奪ってはいけません。人の幸せを奪うことは、最もの罪です』
祖母の言葉は、全て私の頭に入っている。
私はそれまでに自分を作ったと言っても過言じゃない。
祖母の言う『綺麗な女の子』になりたかった。
そして、私はそれを確実に再現することが出来ていたと思う。
誰がどんな人を望むか、どんな言葉を望んでいるか、目に見えて解った。
女の子は作られる。大人や他人の目によって。
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