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いつも隣にいた紗綾先輩は、お砂糖みたいに甘い空気をしていた。
可愛くて、でも意志の強さがある。
付き合ってることは解ってたけど、お似合いなカップルには見えなかった。
「紗綾先輩は真希先輩といつからお付き合いしてるんですか?」
「ん?高校からだよ。私が凄い猛烈にアタックした」
「やっぱり昔から真希先輩格好良くて?」
「全然!超地味な奴だった。大学一緒になったのをきっかけに、大学デビューさせたの」
こんな可愛いんだから、きっと素敵な男性と知り会えただろう。
…なんて、ちょっと自分を買い被ってみたら、私だって同じ事が言えたかもしれないから、思うのもやめた。
紗綾先輩は『汚い女の子』じゃなかった。
この人もこの人で特殊なんだと思う。自分を飾らず、全て本心を言う。人の気遣いが出来る素晴らしい人。
だから怖かった。あの子みたい。
内面が見られているようで。作り物の私が知られているようで。弱点を握られているようで、そしていつか粉々に砕かれそうで。
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