プロローグ

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4月8日。高校生の誰もが始まりを迎える日である。 新垣真人(あらがき・まさと)と中川絵里加(なかがわ・えりか)もその一部だ。 東京の一画でも、2人が参加する入学式が盛大に行われていた。桜が満開の中、2人は並んで校門に向かって歩いていた。その後ろを絵里加の母親である、幸子が、見守るようについていた。 「2人とも、こっち向いて!」 2人ともそれに応じ、並んで視線をカメラに移した。 カメラのフラッシュが2人の制服姿を写しとる。 それに幸子は、満悦していた。 「じゃ。お母さん、また後で」 母親に手を振り、絵里加は真人と一緒に校門をくぐり、その先に待つ物を目指した。
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