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「あれ~?言ったはずなんだけど」
白々しい。この上なく。
「とにかく!あたしは雛ちゃんとこいく。
いってきま」
次は腕を柊に掴まれた。
相当変な顔をしたと思う。
「でもね、今日は蓮に付き合ってやろうね。
今日は蓮の誕生日だから」
「去年は忙しかったからすっかり忘れちゃってたもんなぁ」
「だから。
誕生日くらいは付き合ってあげようと思うんだけど」
言葉を途中で間を置き、柊が柚南に耳打ちをする。
「ねぇ、俺抜かして話進めないでよ」
「どうする?ゆぅ」
顔を離して聞いてくる柊に。
「…わかった。んで、蓮。行き先は?」
「新撰組歴史巡り。
流離いの旅の予定」
さすらい。つまり。
「予定とかじゃないじゃん!」
行き当たりばったりの旅。
歴史巡りなんて行ったら体力が尽きるまで付き合わされる。もちろん柚南ではなく、蓮の。
「1日に日本全土をまわれるわけじゃないんだから」
こう言わなければ本当に全国至る所に連れ回される。
「ハァ…。ゆぅはせっかちなんだから。
もう少しぐらいのんびりしてたっていいんじゃないかな」
大袈裟なくらい首を振る。
「ほら、行くよ!!ゆぅ、柊」
「行きますか」
「あっ、待って」
行ってしまう2人を慌てて追いかけた。
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