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「おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
すっかり夜も深くなり、俺たちはそれぞれ寝床につく
今夜からさくらには、俺の寝室を貸して、俺は1階にある親父の寝室で寝ることにした
もちろん、アレな書物は、さくらが風呂に入っている間に、全て移動させてある。そのあたりは抜かりない
親父の部屋は正直、全然使ってないから埃っぽいし、あまり入りたくない部屋なのだが
さすがにさくらをリビングで寝かせるわけにはいかないからな
そして、今夜は今朝のようなことがないように、厳重に警戒しなければ
今朝は、さくらに俺の部屋の隣にある昔の母さんの寝室を貸していたから起きた事態なのだ
階段の隔たりがあれば、さすがに今朝のようなことはないだろう
まあ、さくらの確信犯じゃなければの話なのだが…
「あ!そういえばお兄ちゃん…」
「ん?」
2階の俺の部屋に行こうとしたさくらが、階段を上る途中で立ち止まって、俺のところに駆け寄ってくる
そして、顔を俺の耳に近づけて、こう囁いた
「あたし、この前測ったらEカップやったで」
……………
「んな!?おま、そういうこと女の子が…」
「だって、お兄ちゃんに誤解されてるんは嫌やもん、それに…」
そう言ったところで、口に手を当てて赤面する
かと思うと、赤面した顔はそのままに、まるでいたずらを思いついた悪ガキのような屈託のない笑顔で言った
「あれだけ激しく触られたら、今更サイズくらい、どうってことないもん!」
「!!」
「じゃあね、おやすみぃ~」
「……………」
覚えてたのかよ……………
無邪気に階段を上っていくさくらを、俺はどうにも複雑な心境で見つめるしかなかった
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