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「と、いうわけで、今日は勉強会です!」
「どういう心境の変化?」
朝、さくらの作った絶品の料理を頂きつつ、二人で食卓を囲んでいるとき
突拍子もなく叫んだのは、勿論さくらである
「お兄ちゃん!私、これでも受験生なんやで!?」
・・・そういえばそうだったか
というか、分かっていたのだけれど
俺がこういうのもなんだが、受験生というものは、もっとこう陰々としたものだと思っていったものだから
この娘の様子を見ていると、そんなことさえ忘れてしまうときがある
「なので、家庭教師をお願いします!」
などということを、胸をはって言う
基本は気使いの女の子だと思っていたけれど
そういえば、昔は自分がこうと決めたことには、ひたすら頑固で自信満々だったのをふと思い出す
「ところで・・・・・・」
「?」
そう言うと、さくらは話題を変換させるべく一息つく
そして、天井に一瞥くれて、俺のほうをじっと見て言った
「エロ本はどこにあるの?」
「ごほっ!ゴホゴホっ!!」
あまりに予想していなかった言葉に、つい口に入れていたものを喉につまらせてしまう
「あ、反応した!やっぱりあるんやね!」
そりゃ、反応もするわ!
というか、この娘はどんだけ、そっち方面の話に興味津々なんだ
本気で、この娘のこれからのことが心配になる
「な、ないわ!そんなもん!」
「お兄ちゃん。嘘はあかんで。健全なる高校2年生の部屋に、1冊もそれがないなんてことは、あるはずないもん!」
「あ、あのな・・・・・・」
そりゃ、まあそうかも知れんし、実際昨日、さくらが風呂に入っている間に部屋から全部持ち出して親父の部屋に移動させたんだけど・・・
「それに、私は別に気にせえへんよ?」
「へ?」
急に優しい、慈愛の女神をイメージさせる笑顔になるさくら
何か後光が差しているようにも見える、それほどまでに優しい笑顔
「妹萌え本があれば・・・の話やけど」
「よ~し!勉強、張り切っていこう!!」
「あ、話逸らせた!」
前言撤回
女神の仮面をかぶった、とんだ思春期娘だ
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