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にっこりと冷たく笑う薫。
門の前で立つ私と瓜二つなこの人は雪村薫。
薫とは年子(一つしか変わらない兄妹のこと)の兄妹だ。
幼い頃に離婚した両親のうち、父が薫を母が千鶴を連れ、私達は引き離された。
生き別れの兄妹とは正に私達のこと。
そして薫は父の旧姓の南雲を、私は母の旧姓の雪村を名乗った。
でもそれから2年後、母は優しそうな男の人と再婚。
平和で楽しい毎日をすごして3年が経ったある日、私達に一本の電話が。
私の実の父親が交通事故で亡くなったのだ。
父は母と離婚後、毎日夜遅くまで仕事仕事でろくに睡眠もとっていなかったらしい。
薫が止めても何かを忘れようとするように仕事に没頭していたと聞いた。
それが祟ってか、居眠り運転してしまい‥。
父は別れても母を愛していたのだ。
だが、些細な意地の張り合いで仲違いしてしまった2人。
そんな2人の離れた心は戻ることを知らなかった。
そして私も薫もわかっていたこと。
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