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「‥‥‥薫。減点5はやりすぎかと‥‥。」
ぽつりと呟いたのは私の腕を引いた男の人。
「えー?いいじゃん!一は優しすぎるよ!」
「いや、薫がそいつに厳しすぎると‥。」
腕を組んで文句を言う薫兄と冷静に薫を見つめるその人。
「あ、あのっ!」
いきなり声を出した私に視線が集中する。
‥いや、KYじゃないよ?
うん、エアーデストロイでもないんだけどさ?
‥でもちょっとはずかしかったよぉ!
やめときゃよかった!
お母しゃああぁん!!!
「?」
「なあに?千鶴。」
首をちょっと傾げる斎藤さんとやわらかい笑顔で聞く薫が私を脳内の戦いから、現実に戻させた。
‥やべ、キャラ崩れた。
「い、いや‥薫兄じゃなくって‥。」
チラッと目配せをすると薫はなるほどと右手をグーにして、左手のパーに乗せる仕草をする。
「ん?あぁ、一か。コイツは斎藤一は僕の友達だよ。一緒に風紀委員やってる。」
薫兄は私の意図を素早く理解し斎藤さんを軽く紹介してくれた。
斎藤さんはペコっと軽く会釈する。
「そうなんだ。‥さ、斎藤さん!」
「‥‥何だ。」
斎藤さんは無表情のまま私を見ている。
「あの、ありがとうございました!」
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