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「うぐっ……紅ちゃ~ん!」
完全無視…。
「ごまかすな、珠ねぇ。三坂組ってヤクザ内で有名な極道三家のひとつなんだろ?」
珠ねぇは、驚愕した。
なんで知ってるの?って顔だな。
「桜子の親父は警察庁のキャリア組だからな。よく桜子が話すんだよ。『なんか珠ねぇがいそうな名前の組ね』なんて冗談言ってたけど、まさかホントだったとはなぁー」
「…そっか。なんかゴメンね、紅ちゃん…」
申し訳なさそうにしょんぼりしている。
「いや、他人の家庭の事情を否定はしねぇよ。謝まんなよ」
「だってわたしのせいで紅ちゃんに怪我させちゃった…おねぇちゃん失格だぁ…こんなわたし、嫌いになったよね…」
珠ねぇは泣き始めた。
ヤクザ相手にあんなに強気でいた珠ねぇに、こう泣かれると調子狂う。
だきっ
「……えっ……?」
俺は珠ねぇを抱きしめた。
「いいんだよ、べつに。こんな傷、つばつけとけば治る。こんなことで嫌いになるわけないだろ」
「紅ちゃん…」
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