†1

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「バカみたい…」 自嘲気味に小さく呟いた私の声は、儚く… そして虚しく消えていった。 自分から離れたくせに、まだ引きずっている。 あなたの隣に戻れない、戻れる立場でないことは分かってる。 でもやっぱり、あなたの隣に戻れるってどこかで期待してたのかもしれない。 いや、戻れることを願ってたんだ。 だから私はあんなものを残してきたのかもしれない。 そう、カレーのレシピを…。 自分でも分からない。 どうしてシチューを作ってカレーはレシピに残してきたのか。 でもね、やっぱりあなたの好きなカレーは二人で食べたかったからなのかもしれない。 シチューを食べるとき、あなたの隣に私がいないことは分かってたから。 それに、あなたのところにいた証拠を残しておきたかったから。 たとえ、紙1枚でも私がいたという証拠を。  
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