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椅子を引いて、ぎしっと言う音と共に、枝谷くんは体を大きく伸ばす。
パソコンを立ち上げる音が聞こえる。
「いいよ。私が勝手にやってることだし。疲れてるんでしょ」
枝谷くんは頬杖をついてみどりを見た。
じっと見られて、まだ断ろうとしていたみどりは口を閉じた。
枝谷くんが笑ってないとなんだか調子が狂う。
「提案書なら慣れてる僕が作ったほうが早い。それにね・・・まあ、その後、ご飯くらい食べて帰りません?」
「・・・はい。ご馳走させて」
枝谷くんはにっこりと笑った。
あ、そうか。敬語じゃなかったんだ・・・
そして、何か違うと思っていた枝谷くんの原因がわかったときには、彼の視線はもう資料に落ちていたのだった。
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