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「私がいけないって?でも、仕事をうまく回すのは会社の為じゃない。私達みんなが会社に雇われてるんだから・・・」
「フォローすればいいんだよ。自分の失敗は自分で取り戻せばいい。会社は完璧を求めてるわけじゃないし、完璧だからうまくいくってわけでもない。それに、会社が全てじゃないよ。文句言いながら、泣きながら仕事したって感謝されるとは限らない。そんなことに時間を費やすのってばかばかしくない?」
「それって暗に私がバカって言ってんの?」
「何か哀れで・・・」
眉を下げてこっちを見る枝谷くんをみどりはきつく睨んだ。
「適当に仕事やってる枝谷くんに言われたくない。手を抜いてるのわかってんだからね」
みどりは立ち上がった。
何も料理を口に入れていなかったけど、これ以上この人と話しているのが嫌だった。
みどりは一万円をテーブルの上に叩き置くと荷物をまとめて握り締めた。
「お疲れ様でした」
「あ、みどりさん」
枝谷くんが咄嗟に手を掴んだ。
「何?」
上から鋭く睨む。
枝谷くんはいつもの調子に戻ってにこにこ笑いながら口を開いた。
「これはね、ギター。僕、音楽やってんの。みどりさんの近くの駅でも歌ってるんだよ。今度聞きに来て」
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