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何かの錠剤『まあ…そういう事だ。楽しかったよ、ありがとうな』
膨れた電池パック『おう、達者でな!安らかに溶けちまいな』
何かの錠剤『お前…俺が錠剤じゃなかったらボコボコにしてたわ』
ホッチキス芯『自分が何の錠剤かってわかったのか?』
何かの錠剤『いや、いいんだ。もう俺には時間がない。それは諦めたよ』
ホッチキス芯『なんだと…!お前おいッ!』
ガシィッ
何かの錠剤『おい、止めろよ…もういいんだよ…溶けてんだぜ俺』
ホッチキス芯『ふざけんなよ!お前ずっと言ってたじゃねえか!お前を外の衝撃から守ってくれてた入れ物に礼を言いたいって!自分の成分を知って何に効くのか知りたいって!』
何かの錠剤『だからもういいんだって…離せよ…刺さってんぞお前…』
ホッチキス芯『悔しくないのかよ!お前このまま「何かの錠剤」のまんま死んでいいのか?どうせならしっかり薬品名でくたばれやッ!!』
何かの錠剤『………。』
膨れた電池パック『熱いぜ…電話ん中以外でこんな気持ちになれるなんてな…惚れたぜ、芯…熱膨張しちまった…』
ホッチキス芯『お前場をわきまえろ』
何かの錠剤『…す、すまねえ芯。だが俺の心の芯は折れちまった…情けねえ、情けねえよ俺』
ホッチキス芯『…連れてくる』
何かの錠剤『え?』
ホッチキス芯『連れてきてやるってんだよ!入れ物さんをよ!それまで溶けんな!絶対だぞ!』
何かの錠剤『ばっ、やめろ!第一この机にいるかさえ分からないだろ!それっぽいのが居たって別の入れ物かもしれないだろ!しかも危険だ、お前はただのホッチキスの芯だ!いや、もうホッチキスの芯ですらないだろお前!』
ホッチキス芯『ごちゃごちゃうるせえぞ!俺がホッチキスの芯か芯じゃないかなんてそんなの関係ないだろ!心にくるようなこと言うな!いいから涼しいとこで体育座りでもして待っとけ』
ダダッ
何かの錠剤『あっ!……ったく、体育座りなんか出来る訳ないだろ…錠剤だぞ…』
膨れた電池パック『俺もいくぜ!…って言う流れだよな?いや、いくけど』
ダダッ
何かの錠剤『…』
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