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「で、今日は一体なんの悪さをしようとしてたの?」
クレタを見るマヒロの目は真剣半分あきれ半分、いや僅かに嬉しさを含んでいるようだった。
停学になる前はいつもこうしてマヒロがクレタとクロノを怒っていたためか、久しぶりで僅かに嬉しいのだろう。
「いや、だから今日は遊びに来たんだよ、クロノの部屋に…」
「クロノは今日の夜のデートを断っているらしいわよ、後輩の子がドタキャンされてショック受けてたのも見てるわ。」
マヒイロはクレタの言葉を一蹴すると、マヒロはクレタの後ろを睨みつつ近づいた。
そして顔を痛みで押さえ込んでいるクロノの胸倉を左手で掴む。
「クロノ、なんでアンタほどの女好きがデートを断ったの?
クレタとのデートのため? デートと言ったら殺すわ」
胸倉を掴めば、右手に魔力を固め拳を振りかぶりながら無理矢理問い詰めると、クロノは「デー…遊びです。」とあっさりと口を割ってしまった。
クロノは普段のノリで危うくデートと言いそうになったが、そこはマヒロが個人的に許せなかったのだろう。怒気が含まれていた。
「ふーん、ということらしいけど、それにクロノの部屋には外出用の荷物が纏めてあったわね、クレタが部屋に遊びに行くならそんな準備いらないんじゃないかしら。」
冷ややかなマヒロの目が「さっさと白状しろや。」と訴えていてクレタは除々に恐怖に押されてしまい、結局は諦めざるをえなかった。
「…ごめん…なさい。」
ボソボソと謝る、つまり何か悪事をすると認めてしまうとクレタは観念してマヒロに全てを話そうと地面に座り込んだ。
ただ、俺はマヒロに謝る必要があったんだろうか?
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